みねちんにっき(仮)

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2019/11/4 「トークセッション 『ヴィンランド・サガ』から見たアイスランド」第1部

(2019/11/05 23:20 修正、追記)

この週末、とても面白いイベントに参加しましたので、せっかくなのでメモをまとめました。

www.rikkyo.ac.jp

 

内容につきましてはこの辺をぜひご覧ください。

togetter.com

というわけで、以下、私のメモとつたない記憶からのご紹介です。

 

司会:アイスランド大使館 保坂さん

その1

ツインエンジン藤山プロデューサー アニメ画像・PVを用いた紹介。

 

「ロンドン橋の死闘」線画メイキングのPVとか見せていただきました。

第9話「ロンドン橋の死闘」戦闘シーン【線撮メイキング映像】が公開! - ヴィンランド・サガ - ツインエンジン ニュース

今のアニメこうやって作ってるんだなーと、大変勉強になりました。

 

その2

小澤実先生(立教大学文学部教授)ヴァイキングの世界」

先生たちのレジュメ写メりたかった……

 個人的に興味深かった点を中心に。

 

その3

松本涼先生(福井県立大学学術教養センター講師)アイスランドのサガ 資料の用い方」

  • アイスランドノルウェーヴァイキングの植民によって成立。
  • サガは一般名詞で200編以上あり、古アイスランド語で書かれている。AD1000年ぐらいのことを描いているが、実際に書かれたのはそのしばらく後なので、必ずしも事実とはいえない場合があるのではないか。北欧の物語が文章化されるのはキリスト教化されてから。(→ 関連として第2部のヴァルハラ信仰の話)歴史的事実ではないがその核になっている……
  • サガの中にはヴィンランド(穀物の実る草原の地)とヴィーンランド(葡萄の実る地)の2つの表記がある。両方とも理想の地のような意味合いだが、最近の研究ではヴィンランド表記のほうがもともとでは……という風になっている。
  • レイフ・エリクソンのモデル、レイヴル・エイリークソン。赤毛のエイリークルの息子。アイスランドの超有名人。
  • トルフィンのモデル。ソルフィンヌル・ソルザルソン。またの名をソルフィンヌル・カルルセヴニ。カルルセヴニは男らしいとかいう意味で、船乗りや交易者として知られる。前半生がわからず、サガの中でもなぜヴィンランドを目指したのかがはっきりしない。そういう人物を主人公に選んだこと、当時の人としてはありえないことを物語の中で行動理由としたことに、幸村先生がすごいと思う、と先生がおっしゃっていました。
  • アニメ「ヴィンランド・サガ」の表現が本当にすばらしいが、中でも、アマゾンプライム版でしか見られない「ヒョルンガバークの戦い」(トールズが戦いに飽いて逃げる描写)について、雹が降っている。これは原作にはなく、サガに書いていることなので、そこまで調べているスタッフ偉い!!と先生がおっしゃっていました。

 

その4

伊藤盡先生(信州大学人文学部教授)「『ヴィンランド・サガ』にみる『北欧奴隷』表現の系譜」

  • レジュメのキャプションが英語でびびりました。外国の大学にも行ってらっしゃるそうなので……
  • ヴィンサガだけでなく、今までの日本のアニメやマンガ表現のなかでヴァイキングがどう描かれてきたかを教えていただいた。
  • 「小さなバイキング ビッケ」(!!知ってる人いますかー!)の中で「捉えられたヴァイキングが「ヴァイキングは奴隷にはならん!」と繰り返し言っている。だがその後「奴隷になったらおいしい食事やきれいな服をやる、お給金や休みをやる」というくだりがある。奴隷はあくまで契約をしてなる、相互関係の労働力(!!!)。
  • 「クリスタルドラゴン」(!!)の中で、ヴァイキングに捕らえられたアリアンロッドヘンルーダ(彼女らはアイルランドケルト人)。ヴァイキングの長のソーリルがヘンルーダを口説く数ページでは、普通にプロポーズして口説いている(レジュメではソーリル表記だが、確かマンガ中ではソリルと表記されている)。ソリルの母は、契約をして働く奴隷制度をわかっておらず拒否するアリアンロッドに交渉をもちかけ、結果的にアリアンロッドという稀有な人材を働かせることに成功している。
  • ヴィンランド・サガ」ではアシェラッドの「~。人間はみんな何かの奴隷だ」という台詞やハーフダン(!最新話のハーフダンとの差よ!)がトールズに言い放つ「それでこいつの鎖を解いてやったつもりか」などの台詞に、幸村先生の考え方が表れており、この物語の大きなテーマになっている……

先生早口ですごく大事なこと言ってた!ビッケの作者はスウェーデンだけどノルウェーがどうとか……アシェラッドの名前をよくもってきたとかなんとか……質問すればよかった……

 

第2部はまた、以下次号となります!