みねちんにっき(仮)

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お芝居二本その1:NODA・MAP「パイパー」

パイパー見て来た。物語性が強くて、言葉遊びがほとんどなくて、野田秀樹の芝居作りがだいぶかわってきてることを感じた。とても美しい寓話。


役者もみな素晴らしかった。話の中心である4人、宮沢りえ松たか子橋爪功大倉孝二ががっぷり四つに組んでいるのを見ているのは本当に幸せ。個人的には特に、橋爪功をしっかり見られたのがうれしかった。
怒る役といえば個人的に松たか子なのだが、今回は宮沢りえ。これが、よかった。面白かった。姉妹の役を取り替えた感じ?



母と幼い姉が崩壊した火星を放浪する回想シーンの、台詞の掛け合いがとても好き。話が少し飛ぶが、作家池澤夏樹と写真家普後均とのコラボレーション小説『やがてヒトに与えられた時が満ちて…』を思い出した。緩慢な終末を迎える人類の物語に添えられるたくさんの写真が、まるで人類の思い出のように見えたことを。
手をつないだまま叫ぶように語る情景の数々は、写真のようだったし、ふたりが見た猫の置物も、人類の思い出そのものだろうし。


パイパーのユニークで夢を見るような動き、アンサンブルのよく計算された繊細な動きは、まるで舞踊を鑑賞するみたいで、それだけで見に行ってよかったと思わせられた。


儚くて哀しくて巨大な(虚大な)、夢。
贅沢な舞台だった。