みねちんにっき(仮)

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SFなめられますた

事の発端はこう。ある人が「SFは1冊よめば語れる、その証拠に小説を書いた、100ブクマいったらアップする」って宣言して、ちゃんとアップしたというもの。
あ。私は直接はブクマしてないっすよ。メタブクマ得意だもん。この人好きじゃないし。


先に言っておくと、ぶくま元である作品は、破綻もないし思ったより悪くない出来だと思った。一度読めば充分かなとは思ったけど。
それで終わるはずだったのだが。


ただ、このコメントを見て、俄然考えが変わった――というかハゲシク落ち込んで、認めちゃいかんだろ!と思ったわけで。


はてなブックマーク - 宇宙戦艦アキバ - ハックルベリーに会いに行く
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20080703/1215052052

lylyco これ読んでSF読みになるかどうか決めるつもりだったけど、SFってホントにこんなもんなの?SF好きの人ってこんなのにドップリはまってるってこと?…うーん、SFファンはやめとこう。


勘弁してお願い。SFを決め付けないで。ひどい侮辱。釣りでやってるんだとしても。
こんなのはSFじゃない。
すくなくとも、私の好きなSFじゃない。そこそこの出来の、ワンアイデアショートショート


はてなにはなんで、★みたいな、ブーイング用のアイテムがないの!!!)


SFって、実験小説だとおもう。人類とは、生き物とは、世界とは、宇宙とは。人間とは、男女とは。私とは。近代になってもたれるようになったそういう疑問たち。
現実にはありえない世界をつくって、その中で登場人物を描いて、シミュレーションする中で、何かを感じ取る。未知の事象に目を輝かせて、ありとあらゆる悲喜劇を楽しむ。
SFが新しいジャンルなのも当然だろう。自分の種族をつきはなしてネタにする神経は、近代でなければ持ち得なかっただろうから。


いや、……そう、もっといい言葉があった。
センス・オブ・ワンダー。何かを不思議だと思う気持ち。


コラム: センス・オブ・ワンダー http://iwatam-server.sakura.ne.jp/column/92/index.html

不思議感というのは、自分の持っている常識、あるいは固定観念をひっくり返す役割をする。こういったものを時々ひっくり返すことで、新しい角度からものを見ることができ、今まで見えていなかったものが見えてくる。


いいSF、私の好きなSFにはこれがあった。たとえば「トップをねらえ」で、"オカエリナサイ"を見たときにちくしょうやられたと快哉をあげたのは、何もかもが変わってしまう遠い未来、それでもその言葉を贈ってくれるあたたかい気持ちに、隔絶と同時に細く強い繋がりを感じてしまったからじゃないのか。そういう、未来というものに、不思議に心が躍ってしまったからじゃないのか。たとえば「星界の紋章」、あれはいくつもそういうところはあるけど、そうだな、アーヴという人工種族そのものに萌えた、といっても過言ではない。キャラクターひとりひとりもかなり面白いけれど、種族のあり様だけでも友達と延々話せたよ!アーヴ語なんか付け加えたら何杯でもご飯が食べれたよ!>< それに「クラウン・タウンの死婦人」を読み終えて何も言えずに黙ってしまったのは、現実の歴史をモチーフにしていながら、架空の歴史とそこにいきた命の突き放し方みたいなものの壮絶さに、いや、その異形さそのものに、深く感銘を受けてしまったからじゃなかったのか……。


逆に言えば、どんなに面白い小説でも、これを感じるか感じないかのために、「えせえふ」論議がしばしば起きちゃうわけで。私にもありますよ。これ面白いけど、好きだけど、SFじゃないよなーって思う作品。炎上イラナイから書かないけど。


Sぱら用語の基礎知識・「え」の項 http://www.ne.jp/asahi/rover/sfx/s100/s100_e.htm

エセエフ  えせ・えふ(本/用語)
SFじたてになってはいるがSFマインドの感じられない作品。

宇宙を出しても、超能力を出しても、"不思議なこと、未知の何かに出会ってわくわくする気持ち"が感じられなければSFとは呼べない/呼ばない。宇宙や超能力にわくわくしなければ、いくら出てきたってSFにはならない。そのわくわくする感じを知らずに、ただガジェットがそれっぽいだけでひとくくりにされて、しかもわかったような顔をされるのが、どれだけ、それを愛するものにとって侮辱か。

だいたい、”P・K・ディックをたった1冊読んだだけで、SFはわかったから書けるっていって実際アップされること”自体が、SF好きとしては怒っていいことだと思うんですよ。。あるブコメに「みんな叩く気まんまんだね」ってあったけど、ここで叩いておかなかったら”自分がこよなく愛するSFというジャンルは1冊読めばそれで終わるようなチャチいジャンル”だと認めるようなもんですからねぇ。ディックはおいら、ブレードランナーの元ネタのを昔読んだっきりなので何とも言えないけど、ディック好きも何か言わなくていいのかー><


というわけで、死ぬほど打たれ弱いくせにマジレスしてみた。
SF好きの諸兄諸姉、ごめんなさい。



追記:07/05 17:20
はてなブラックスターができたのでつけてきた><


更に追記:07/12 19:44
objectOさんが身体を張ってくれたのでトラバる。そんな勇気私にはナイヨ。すごい。というか、面白かった!!!元ネタのやつと比べて読むと、そのパロディ具合がまたいいです。是非に。……でも、”ポンバシ”の方がタイトルとしてはいいんじゃないかってツッコミはいってたYO!
跳訳・宇宙空母ニホンバシ - 安寿土牢 - ファック文芸部 http://neo.g.hatena.ne.jp/objectO/20080709/p1
SF小説をアップしたのでこのエントリーにブクマ100ください! - 安寿土牢 - ファック文芸部 http://neo.g.hatena.ne.jp/objectO/20080711/p1


ディックについては既に書かれていたそうです。というわけでこれも勝手にトラバさせていただきます……TBは勝手にするものだ?慣れてない人間にそう言うこといってもビビるんですYO!
hikaliの開発日誌 |  「去年を待ちながら」 シリーズ(?) ディックを考える http://blog.story-fact.com/?eid=474163


更に更に追記:07/12 22:38
御礼。 http://d.hatena.ne.jp/minechi_n/20080712/1215869893



しつっこく追記:07/13 12:48
元ネタがまとめられている件、および、”ポンバシ”ツッコミについて、トラバさせていただきます。
宇宙戦艦ともSFとも関係ない話 - 一本足の蛸 http://d.hatena.ne.jp/trivial/20080712/1215837841